「華を添える」だけではもったいない

食べられる花屋EDIBLE GARDENを運営する.scienceの小澤です。

現在、日本におけるエディブルフラワーの市場規模は約2t(*)、金額にしておよそ2億円です。わたしたちは料理人、そして高品質なエディブルフラワーの生産者と共に、このマーケット全体を伸長させることを目指しています。(*)2006年農水省統計。市場流通品に限る

では、そもそもなぜ食用花のマーケットは伸び悩んでいる(or大きくなりきれない)のでしょうか? ぼくは、その華やかなイメージにこそ原因があると思います。

一般的にエディブルフラワーと言えば、その名のとおり「華を添えるもの」。味や香りに関しては、ほぼ印象がないのではないでしょうか。実際、料理において『見て楽しむ』以上のクリエイションがなかなか現れていないのが実情だと思います。

しかし、本来「花」という食材は、植物においてもっとも香りが強く、味が濃い部位。見た目のために添えるだけではなく、食材として重要なポジションを任せられる存在なんです。その風味豊かな味わいや強烈な香りは、料理のクオリティを次のレベルへと引き上げてくれます。

エディブルガーデンでは、とりわけ食用花の持つ「香り」に注目しています。取り扱っている「さ姫」「YOKOTA ROSE」「AYUMI」などは、いずれも花本来の香り高さをもった、高品質な食用花。ただ見て楽しむだけでなく、まるで香りをたべているかのような食体験に昇華できる花たちです。


奥出雲薔薇園のさ姫

YOKOTA ROSE

AYUMI

香りに酔える、バラのアイスクリーム

.science取締役の田村は料理人です。「香り、薫る、馨れ。」をコンセプトに、『香り』を重視した料理やアロマティーの開発を手がけています。

たとえば、彼がつくったバラのアイスクリーム。「たべもの」なのに香りの印象が圧倒的に強く、ぼく自身を含めて多くの方々を驚かせている一皿です。

田村いわく、このアイスクリームでは、3段階の香りが味わえるとのこと。まず、お皿の上から香る薫り。次に、嚙んだ瞬間にバラの花びらから香りのカプセルが弾けたときの薫り。そして、最後に口に入れ、胃に入ったときに体温で温められたバラの香りが立ちのぼっていくときの薫り。

食べたあとしばらくは、体の中がバラの香気で満たされているような感覚にひたれます。バラの香りで心地よく酔ってしまうような、特別な体験です。

これからエディブルフラワー市場の成長に必要なのは、「乗せるだけ」から「香りを味わう」への転換です。料理人の手にかかった至高の一皿を一度でも口にすれば、食材としての食用花に魅せられる人はきっともっと増えるでしょう。

「香りをたべる」をコンセプトに、一流の料理人とコラボレーションをし続けることで、「たべる香り」という新しいマーケットをつくり出す。これが、わたしたちの目指すゴールのひとつでもあります。