なぜ化学農薬不使用の食用花のみなのか?
EDIBLE GARDENでご提供している食用花は栽培期間中、一切の化学農薬を使用しておりません。なぜ化学農薬をいっさい使用していないのか?その理由は以下の2つです。
① 残留農薬のリスクをゼロにするため
② 洗わずに食べられる安全性を担保するため
この記事では、ご提供している食用花に化学農薬を使わない理由の詳細について、野菜と比較しながらご説明いたします。
花の組織構造について
葉や茎の構造
葉や茎の表皮組織(外気と触れている部分)はへん平に並んでおり、表面がフラットになっていることが細胞組織学的に明らかになっています(図1)。
図1. ツバキ葉の徒手切片による全体像(A)および,葉上面の向軸側(B)からの組織構造*スケールバーは100 μm。
(梶原裕二 (2007) 多様な相補本植物を用いた葉と花の柔組織の観察 京都教育大学紀要:No.110, pp.1-12.より引用)
花びらの構造
しかしながら、花びらの表皮組織は葉や茎と異なり、円錐形状の細胞の尖った側がスパイク状に外向きに並んでいます(図2)。これにより、花は光を反射して鮮やかな色彩を放ちます。しかしながら、スパイクの溝部分に農薬などが付着するとその場に留まり、その成分が残留しやすくなります。
図2. サンシキスミレの花弁の断面像(A)、表皮細胞と維管束の拡大図(B)、およびスイセンの花被片(C、D)の組織構造
(梶原裕二 (2007) 多様な草本植物を用いた葉と花の柔組織の観察 京都教育大学紀要:No.110, pp.1-12.より引用)
慣行農法で栽培された食用花の残留農薬について
基本的に一般流通している食用花は、野菜の慣行農法もしくはそれに準じた基準にて農薬を施与して栽培されています。野菜と同様、食用花においても残留農薬が懸念されるものの、その程度については明らかになっていません。武蔵野栄養専門学校らが他食用花の残留農薬について調査した報告(表1)では、プロチオホス、マラチオン、テブフェンピラド、クロロタロニル、カルベンダジムおよびビテルタノールの6種類の農薬が検出されたことを明らかになりました。
特筆すべきは、一般流通している食用ばらの「ベルローズ」の一部サンプルにおいて、クロロタロニルが検出された点です。国際がん研究機関では、クロロタロニルが発がん性についてGroup2B(人に対する発がん性が疑われる)としており、高濃度のものが皮膚と接触すると刺激性のかゆみやかぶれが生じるというリスクを示しています。当該調査にてベルローズから検出されたクロロタロニルは0.09mg/kgという微量であり、ラットのLD50(半数致死量)である10,000mg/kgなどと比べると低い値ではあるものの、中程度の危険性を有する農薬が検出されたという事実を明らかになりました。
(岡崎英規ら (1997)EIAキットによる食用花(エディブルフラワー)の残留農薬測定について 武蔵丘短期大学紀要 第5巻, pp.37-42より引用.)
表1. GC, GC/MS, LCによる残留農薬
(岡崎英規ら (1997)EIAキットによる食用花(エディブルフラワー)の残留農薬測定について 武蔵丘短期大学紀要 第5巻, pp.37-42より引用.)
当社のエディブルフラワーの栽培方法について
当社のエディブルフラワーはすべて、栽培期間中に一切の化学農薬を使用せずに栽培されています。繰り返しにはなりますが、その理由は、EDIBLE GARDENでご提供している食用花は栽培期間中、一切の化学農薬を使用しておりません。なぜ化学農薬をいっさい使用していないのか?その理由は以下の2つです。
① 残留農薬のリスクをゼロにするため
② 洗わずに食べられる安全性を担保するため
上記2点がポイントとなります。
① の残留農薬のリスクについては、前記の【花の組織構造について】および【慣行農法で栽培された食用花の残留農薬について】をご参照ください。
洗わずに食べられることで、花びらを水で洗うことによって生じる以下のデメリットを回避することができます。
1.花びらに水が浸み込みシミになる、ふやけてしまうこと
2.香りが飛んでしまうこと
3.花の形が崩れてしまうこと
以上です。最高品質の横田ローズおよびエディブルフラワーをお楽しみいただくために、私たちは農薬不使用にこだわります。生物的な特性を十分に理解し、安全にも配慮した食材の提供を目指して参ります。